激痛の中で、また日曜日を迎えました。歯科医は休診です。
しかし、あまりの苦しみを見かねた家族が、休日診療の医院を見つけてきました。ご近所にあり、しかも評判もすこぶる良いと聞きます。
実は、それまで通院していた歯科医は、家から電車で30分ほどの場所。痛い歯を抱えて、通院するのが辛くなっていた私は、渡りに舟と、とりあえずその歯科医(以降、「第2の医師」と記します)の門を叩きました。
問診に触診、打診、レントゲン、そして、電気診(歯に微量の電流を与え反応を調べる検査)……第2の医師は、丁寧に時間をかけて各種の検査をすると、私の症状を「歯根膜炎」と診断しました。
歯根膜炎! そんな怖い名前の病名、聞いたこともありません。
第2の医師によれば、歯根膜炎の原因は、
- 虫歯の放置。
- 抜髄(歯の神経を抜く)が完全でなく、残存物が悪さをする。
- 抜髄後、空洞になった管に詰めた薬が刺激になる。
等々、さまざまだそうです。
私に関しては、(2)と(3)の疑いが浮上しました。そこで、再び、根管治療(抜髄時の残存物を徹底的に除去し、根の病気を治療・予防する)のやり直しです。今日もまた、グィーングィーンと歯を削る機械(タービン)がうなり、仮のセメントがはずされました。いつ聞いても嫌な音です。歯の神経どころか、神経そのものがまいってしまいそうです。
私、思うのですが、音が出ないタービンって開発できないものでしょうか? 世界中の誰もが望んでいる技術でしょうに。
それはともかく、一連の治療がすんだ後、第2の医師は、
「根管に関して、前の先生は、適切な治療をなさっていたと思います」
と診断しました。
そうなると、じゃ、なぜこんなに痛いの? ということになります。
それに対し第2の医師は、「刺激」という言葉を口にしました。
具体的には、以下が私に関する「刺激」の要素と解決策です。
- 上下の噛み合わせがあたっている。→少し削る。
- 空洞になった管(神経を抜いた穴の部分)に入れた薬が強すぎたのかも知れない。→弱い薬に変える。
- 穴が、仮のセメントで密閉されているため炎症がたまってしまう。→通気性の良いコットンで蓋をする。
(3)は、一般には採用しない〈裏ワザ〉ともいえるテクニックのようです。
「これで楽になると良いですね」と、第2の医師。私も、心底そう祈りました。
ところで、この時点で、すでに一度延期したフライトが翌々日に迫っていました。この件を相談すると、第2の医師は、
「機内の気圧変化で、さらに痛くなる可能性を否定できない。2週間あれば治せるはずなので、再び延期することを勧めたい」
と、言いました。
♫おうちがだんだん遠くなる〜。
些事ながら、ロサンゼルスー東京間の格安チケットを購入してしまったため、延期の度に2万5千円を払わなければなりません。2回目ですから5万円。お金は出ていくは、歯は痛いはで、もうヨレヨレです。
その痛さだって、この頃には、件の歯(右下、奥から2番目)だけでなく、その前後や真上までもがものすごく痛いのです。こういう痛みを関連痛と呼ぶそうで、それほど珍しい現象ではないとか。珍しいかどうかは知りませんが、もう、口の中が、どこもかしこも激痛なのですからたまりません。
そんな痛みに加えて、歯根膜炎の特徴である歯が浮いた感じも顕著になってきました。上下の歯の間に、絶対にくっつかない磁石の対極が入っているような、あるいは、常に軟球を噛んでいるような、いつ歯がごっそりと抜けてもちっとも不思議じゃないような……気味の悪いこと、この上ない感触です。
私は、「1日3回服用するように」と伝えられたケフラール(細菌を殺菌する薬)と、今や自分の分身ともいえるロキソニン(痛み止め)を携え、「半開きのコットン作戦」が功を奏することを、ただただ祈りつつ第2の歯科医の医院を後にしたのでした。
【歯根膜炎に関する参考サイト】
→歯チャンネル88「歯根膜炎と思われる症状だったのに抜髄、しかもまだ疼きます」
→歯根膜炎《河田歯科医院》(歯根膜炎について図解しています。ただし、私が通院した歯科医ではありません。)
【その他の参考サイト】
→東京・エド日本橋歯科(抜髄や根管治療について書かれています。ただし、私が通院した歯科ではありません。)