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悶絶の歯根膜炎

ある夏、突然、私を襲った歯根膜炎。発症から全快までの壮絶な2カ月間の記録です。歯根膜炎に悩むすべての方に捧げます。どうぞお大事に!

【35日目】原因発見と抜歯

地獄のロキソニン(痛み止め)+氷枕生活」が続いています。大学病院で専門医の予約を取ることに手間取りながら、私は毎朝、第2の医師のもとに通っていました。

 そんなある日、噂をきいた知人から連絡が入りました。
銀座に名医がいる。紹介するから、ダメもとで行ってみたら?」
 私は、久しぶりに光明を見た思いがしました。というのも、この知人、めったなことで、人に何かを薦めるような人物ではないからです。

 指定された日時(痛み始めてから35日目!)に、銀座に歯科医を訪れました。
 待合室で待っていると、
歯根膜炎ってのは、あんた?」
 クラシックな白帽に眼鏡、マスクをした年配の先生が、ぶっきらぼうに尋ねました。歯科医というより外科医の雰囲気です。

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 先生は、私を診察室に導くと、早々に診察を始めました。最近の歯医者さんは、「痛かったら言ってくださいね」と何度も訊いてくれて、逆に、そのせいで恐怖心が増したりするのですが、銀座の名医は、そんなことは一切言いません。私の顎を自分の胸元にグッと引き寄せると、打診を始めました。
「イタッー!」
 私は、その度に診察台の上でエビぞりを繰り返します。
「痛がり? 大げさなんじゃないの?」(銀座の名医
「いえ、大げさでもないし、痛がりでもないハズです」(私)
「ふーん、ハズって言うくらいなら客観的だし、信じてもいいんだろうな」銀座の名医

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 そんなやり取りの後で、例の針のような器具で、ガリガリと歯の根っこをチェックしたり、レントゲンを撮影したり。そうして、かれこれ30分くらい経ったでしょうか。
「うーん、ずい分、こじれちゃったねぇ」
 銀座の名医は、そう唸ると、
「しかし、どうしてこんなに痛いかねぇ」
 と、首をひねり始めました。
 根の治療も悪くない、レントゲンでも異常はない。要するに、原因が発見できないと言うのです。
「あぁ、名医でもダメなのか……」
 胸中に絶望感が漂いました。
 けれども、この先生が凄かったのは「あきらめない」ところです。「痛いんだから原因はある」という執念ともいえる確信のもと、黙々と診察を続けてくれました。そして、遂に、「あー、なるほど。あった、あったねぇ」と、低い声でつぶやいたのです。とうとう原因がわかったのか? 私は大口を開けたまま、先生の顔を覗き込みました。

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「あのね、この歯に、細いけど、歯の底まで届く深いヒビが入っているんですよ」
 先生が解説を始めました。
「そこから細菌が入っているわけ。だから、神経を抜いても意味がなかったっていうか、ま、そういう治療の過程で、そもそも菌で炎症を起こしていた歯根膜が、さらに刺激されちゃったんだろうね。ところでこの歯だけど、ヒビが深いから残せないな。抜歯するしかないね」
 極めて理路整然とした説明です。

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 一方、話を聞きながら、私は完全に脱力していました。まるで元気のないカエルのように、身体がベローンと診察台に吸い込まれました。
ヒビ? 抜歯?? だったら、最初から抜いていれば良かったってわけ??? だ、だ、だとしたら、私の悶絶の35日間はなんだったんだぁ!!!」
 激痛の原因は、歯そのものが語っていたのです。よく刑事ドラマで、「迷った時は現場に足を運べ」と言うじゃないですか。同じことが、私の歯にも言えたのです。だのに、だのにー!です。本当に、この35日間はなんだったのでしょうか?! ふぅー、脱力にため息がまじります。

 しかし、ため息をついている場合ではありません。次なる関門は抜歯です。
「普通はね、炎症を起こしている時、抜歯は避けます。しかし、このケースではそんなことも言ってられないから抜きますよ。歯根膜炎がこじれて、骨髄炎に近いところまでいってしまっているからね。だから、今晩は少し痛むかもしれないけど、仕方ないな」

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 こうして、私の歯は抜かれました。
 抜歯なんて、10年以上振りのことでしたから全身が震えましたが、そこはさすがに名医、ほんの3分ほどのあざやかな早技でスポンと抜いてくれました。私が、「先生は歯をどう抜くか、触りながら考えているんだな」と思っていた間に、名医はさっさと仕事を終えていたのです。
 帰りがけ、「今、飲んでしまってください」と、看護婦さんからロキソニンを渡されました。「今は麻酔が効いているけれど、いつ痛み始めても不思議じゃない」というサインです。

 帰宅した私は、ロキソニン氷枕、そして、お笑い好きの甥の部屋からゲットしたDVD『ドリフの大爆笑』を抱えて、粛々と寝室に向かいました。テレビ画面に、ノー天気なお笑いを流しておくことで、少しでも痛みから気を散らしたいと思ったのです。結果として、これは正解でした。加藤茶の「明るい看護婦」、志村けんの「働くおばあさん」「瀕死の芸者」の3コントは、とくに気持ちを歯に集中させないことに貢献してくれました。ありがとう、ドリフ! そして、ありがとう、銀座の名医! 痛み始めて35日目の宵、ろくに口もきけない状態の私は、そう心の中でつぶやいて床についたのでした。 

ドリフ大爆笑 30周年記念傑作大全集 DVD-BOX (通常版)

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shikonmakuen.hatenadiary.com

【歯根膜炎に関する参考サイト】

教えてgoo!「通院8カ月目です(歯根膜炎)」

YAHOO! ヘルスケア「歯根膜炎/根尖性歯周炎」

歯チャンネル88「歯根膜炎と思われる症状だったのに抜髄、しかもまだ疼きます」

歯根膜炎《河田歯科医院》(歯根膜炎について図解しています。ただし、私が通院した歯科医ではありません。)

 

【その他の参考サイト】

おくすり110番「ロキソニン・腫れや痛みをやわらげ、熱を下げるお薬です」

たかはし歯科医院(骨髄炎について詳しく書かれています。ただし、私が通院した歯科医ではありません。)

歯チャンネル88「歯のヒビ(ひび割れ)」